岡山地方裁判所 平成8年(わ)149号 判決 1996年9月10日
裁判所書記官
A
本店の所在地
岡山市<以下省略>
Y2株式会社
代表者の住居
岡山市<以下省略>
代表者の氏名
Y1
本籍
岡山市<以下省略>
住居
同市<以下省略>
会社役員
Y1
昭和二五年○月○日生
主文
被告人Y1を懲役一年に、被告会社Y2株式会社を罰金一五〇〇万円にそれぞれ処する。
被告人Y1に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(犯罪事実)
被告会社Y2株式会社は、岡山市<以下省略>に本店を置き、空調及び給排気用ダクト工事の請負などを目的とする資本金一八〇〇万円の株式会社であり、被告人Y1は被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人Y1は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、被告会社の取引先に対する架空の外注加工費を計上して取引先にいったん支払った上、これを現金で返金してもらい、これを仮名の銀行預金にするなどの方法により所得を秘匿した上
第一 平成二年六月一日から平成三年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億一二九三万八九一四円であったにもかかわらず、確定申告書提出期限の延長処分による申告書提出期限内である同年八月三一日、同市<以下省略>岡山東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七六四六万四八二二円で、これに対する法人税額が二八一四万三七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額四一六九万一八〇〇円と右申告税額との差額一三五四万八一〇〇円を免れ
第二 平成三年六月一日から平成四年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億三六五一万三六三一円であったにもかかわらず、前同様の確定申告書提出期限内である同年八月三一日、前記岡山東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億二〇一七万七一〇四円で、これに対する法人税額が四四〇七万〇四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額八七六九万六四〇〇円と右申告税額との差額四三六二万六〇〇〇円を免れ
第三 平成四年六月一日から平成五年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億四四四一万〇四七〇円であったにもかかわらず、前同様の確定申告書提出期限内である同年八月三一日、前記岡山東税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一億〇六九〇万七三六一円で、これに対する法人税額が四〇四一万〇二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額五二九三万四三〇〇円と右申告税額との差額一二五二万四一〇〇円を免れ
たものである。
(証拠)
判示全事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官調書(検39、40、41)
一 Bの検察官調書
一 Cの検察官調書
一 Dの検察官調書
一 Eの大蔵事務官に対する供述調書四通
一 Fの大蔵事務官に対する供述調書二通
一 捜査報告書
一 捜査関係事項照会回答書
一 電話聴取書
判示第一の事実につき
一 Gの検察官調書
一 Hの検察官調書
一 法人税確定申告書(平成八年押第五三号符号3)
判示第二の事実につき
一 Gの検察官調書
一 Hの検察官調書
一 Iの検察官調書
一 法人税確定申告書(平成八年押第五三号符号2)
判示第三の事実につき
一 法人税確定申告書(平成八年押第五三号符号1)
(法令の適用)
一 罰条 被告人Y1につき法人税法一五九条
被告会社につき同法一六四条一項、一五九条
一 刑種の選択 被告人Y1につき懲役刑
一 併合罪処理 被告人Y1につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第二の罪の刑に法定の加重)
被告会社につき同法四五条前段、四八条二項
一 刑の執行猶予 被告人Y1につき刑法二五条一項
(立会検察官齋藤諭、弁護人東隆司)
(裁判官 山森茂生)